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「そんな辛い目にあってたのか……」

フレイザーの長い話が終わると、ジュリアスは小さな声で呟いた。



「あんたは体格面での成長が良くなかったみたいだが、ジャネットは体格は普通でも体力面でちょっと普通より弱いんだ。」

「異種族間での子供だからな。
しかも、君達は双子として生まれている。
そういうことによる、不具合のようなものなのだろうな。」

「そうだったのか…可哀想に、ジャネット……」

顔を上げたジュリアスの目は赤く、涙でぐっしょりと濡れていた。



「……私のために…泣いてくれるのか……」

「当たり前だろ…
俺の父さんのせいで、あんたは…そんなに辛い想いをして……
すまない。許してくれ……」

「ば、馬鹿…あんたが謝ることなんてないじゃないか。
あんただって、辛い想いをしてきたのは同じだ。
それに……さっき、あんたの話を聞いてて……
あんたの父親が、ぼろ布みたいになって死んでいったって知った時……
なんだか悲しくてたまらない気持ちになった。
あんなに憎んでたのに……会ったら殺してやりたいと思ってたのに……どうしようもなく悲しい気持ちになったんだ。」

そう言って俯いたジャネットの肩を、フレイザーが優しく抱き寄せた。



「……誰も悪くはなかった。
これはすべて運命だったのだろうな。
君達の父親は、村のためにやるべきことをやっただけ…
もちろん、人間側からすれば良くないことだが、複雑な心の葛藤を乗り越えて仕方なくやったことだ。
そこで、人間と愛し合い、君達が生まれた。
本来ならば、幸せに満ち溢れているであろうそんな時に、異種族だということだけで、それは不幸に変わってしまった。
なんとも哀しい運命だ。
だが、そんな二人がこうして出会うことが出来、わかりあえたのもまた運命だ。
もしかしたら、君達のご両親が出会わせてくれたのかもしれないな。」

そう言うと、ダルシャはかすかに微笑み、グラスの酒を飲みほした。


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