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「誰だ!?」

真夜中に響いたノックの音に、ダルシャがどこか緊張した声を返し、同室のジュリアスは素早くフードをかぶり後ろを向いた。



「遅くにすまない。
俺だ、フレイザーだ。」

「フレイザー…?」

訝しげに彼の言葉を繰り返し、ダルシャは扉を開いた。



「どうしたんだ?こんな時間に……」

「ジュリアスはもう寝てるか?」

「いや、起きてるが…俺に何か用事なのか?」

フレイザーが手招きをすると、俯いたジャネットがおずおずと姿を現した。



「こいつが、ジュリアスに謝りたいって言うから……」

「それなら、私は席をはずそうか?」

「いや…構わない。
ダルシャもいてくれ。
……ジャネット、それで良いよな?」

ジャネットは小さく俯く。



「さぁ、かけたまえ。」

長椅子にフレイザーと並んで腰かけたジャネットは、向かい側に座るジュリアスに、ますます深く俯いた。



「ジャネット…さぁ。」

フレイザーに促され、ジャネットはそわそわと落ち着きをなくし、ジュリアスのことをちらりと見上げてはまた俯くという動作を繰り返す。



「ジャネット、なんなら私とフレイザーは隣の部屋に行こうか?」

「い、いや、大丈夫だ。
さ…さっきはすまなかった。」

「え……?」

「だ…だから……
私は、あんたは獣人の村で幸せに暮らしてると思ってたから、その……そんな苦労をしてたなんて少しも知らなくて……」

「あ…あぁ…そんなこと…気にしないでくれ。」

不器用でぎくしゃくとした言葉が、それでもお互いに接点を探しながら飛び交った。



「ジュリアス……実は、ジャネットも大変な苦労をしてるんだ。」

フレイザーは、彼女が育った環境や、村を出てからのことを様々は困難について話して聞かせた。
ジュリアスは、その話に、時には驚き、時には悲しそうな表情を浮かべて、一心に聞き入った。


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