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「……だから、君は獣人の村に行くのがいやだと言ったんだな。」

ジュリアスは小さく頷いた。



「君のような経験をしたらそう思うのも当然だ。
……だが、アルディは…ここの獣人の長だが……彼は、君をそんなことでは差別はしない。
必ず、受け入れて……」

「どうしてそんなことがわかる!?
ダルシャ…俺をしっかり見ろよ!
獣人にしてはとても貧弱なこの身体を……まるで子供じゃないか。
かといって、俺はどう見たって人間には見えない。
こんな俺のことなんて…どこの獣人だってきっと……」

「いや…彼はそんなことで君を差別なんてしない。
私は、アルディという人物をよく知っている。
彼はとても公平な気持ちを持った人物だ。
だから…行くだけ行ってみないか?
もしも、アルディが君を差別するようなら、そんな所に住むことはない。
私が別の所を…君が安心して暮らせる場所を必ずみつける。」

ジュリアスは、そう言ったダルシャの顔をじっとみつめる。




「ダルシャ…どうしてそこまで俺のことを気にかけてくれるんだ?
そんなことしたって、何の得にもならないのに……」

ダルシャは、何も答えずただ穏やかに微笑んだ。



「前にも言ったろ?
このお兄さんは、損とか得とかそういうことには関心がないんだ。」

「そんなこと言ってるラスターだって、最近は似て来たんじゃないの?」

「そうだな。
ここにいる者は、皆、そういうことにはあまり関心がないんだ。
誰かが、少しでも幸せになってくれれば、それが一番嬉しい……そうだろう?」

ダルシャの言葉に、皆が同じように頷いた。



「とにかく、今夜、ゆっくりと考えてくれ。
どうしてもいやなら、無理はしなくて良いからな。
さて…そろそろゆっくりするか。
皆、疲れただろう?」

眠るにはまだ少し早い時間だったが、皆、素直に部屋に戻った。


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