二人の様子に、他の者達はくすくすと笑いを噛み殺し、ジャネットは照れくささのためか、大きな咳払いをした。



「時に、ジュリアス……その包帯を取ったらどうだ?
食事がしにくいだろう?
ここならもう大丈夫だ。」

「で…でも……」

「大丈夫よ。食器を取りに来た時は隣の部屋にいれば問題ないし。」

「……でも…」

「本当に心配症だな。
大丈夫だって言ってるだろ?
俺がはずしてやるよ。」

「あっ!」



ジュリアスの隣に座っていたラスターが、立ち上がり、ジュリアスの包帯をはずしにかかった。
一瞬は驚いたジュリアスも、その後はラスターにされるがままになっていた。



「あぁ…さっぱりした…!」

包帯が取りさられ、両手で頬をごしごしと撫でるジュリアスは、本当に気持ち良さそうな声を出した。
長い間包帯を巻かれていたせいで、ジュリアスの毛はすっかり寝てしまい、いつもよりさらに獣人らしさが薄らいで見えた。



「お疲れ様。
また明日には巻き直さないといけないけどな。」

「あぁ、構わない。
一時でも解放されて、本当に爽快だ。」



ジュリアスの周りで皆があれこれ騒いでいる時、ジャネットだけが俯き、固く握りしめた拳を震わせていた。



「ジュリアス、あんた、顔の毛を全部剃ったら、人間みたいに見えるんじゃないか?」

「そんなことしたら、ジュリアスは風邪ひいちゃうよ。」

皆が楽しげに笑う中、ジャネットが唐突に立ち上がる。



「……ジャネット……?」

明るい笑い声がやみ、部屋の中が急に静まり、フレイザーが彼女を見上げた。



「畜生……!!」

ジャネットは、誰にも止める間もない程素早くジュリアスの方に駆け出し、彼を椅子ごと引き倒すと、その上に馬乗りになってジュリアスをめちゃめちゃに叩き始めた。



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