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「ジュリアス!なんだ、その恰好は!?」

「フレイザー、ジュリアスは私の旦那様なのよ。
火事にあって酷い火傷をおったけど、お友達のダルシャがイグラシアに良いお医者様を知ってて、紹介してくれることになったの。」

セリナは、ジュリアスの隣にぴったりと寄り添い、そう話した。



「え…?あ…!そういうことか!
そりゃあ良い
その姿だったら、誰も疑る奴はいないだろうな。
な、ジャネット……あ、あれ?」

ジャネットは、皆に背を向け、いつの間にか離れた場所に移動していた。



「ジャネット!さぁ、行くぞ!
はぐれないように着いて来るんだ。」

ダルシャの声に、ジャネットは俯いたまま身体の向きを変えた。



「ジャネットったら…本当に困ったものね。」

ジュリアスを先頭に、皆は森の奥へと進み始めた。



「まぁ、良いじゃないか。
……ジュリアスも気にするなよ。」

「……ジャネットって……」

「ジャネットがどうかした?
さっきも言った通り、彼女のことはあんまり気にしないでね。」

「……あ、あぁ……」



他愛ない話をしながら、ジュリアス達は森の中を進み、しばらくすると森の外に出た。
その頃にはあたりは薄暗くなっていた。



「あそこが街道だ。」

「けっこう近いんだな。
こっちから来られたら君も危なかったんじゃないのか?」

「その通りだ。
でも、この道は人間は通りたがらない雰囲気だろう?」

「確かにそうだな。
いかにも魔物が出そうだものな。
魔物が出ないのが不思議なくらいだ。」

「もしかしたら、俺がいるから魔物たちがいなくなったのかもしれないな。」

笑って良いのかどうなのかよくわからないジュリアスの冗談に、皆、複雑な表情を浮かべた。



「とにかく急ごう。
多分、あの街道沿いに工房のある港町があるはずだ。」

「港町?町に行こうってのか?」

「当たり前じゃないか。」

「お…俺……」

ジュリアスは急に落ち着きをなくし、そわそわとした動きを見せる。



「心配するな。
誰も疑いはしない!」

「そうだよ。
絶対に大丈夫だから!」

皆に励まされたが、それでもジュリアスの不安げな気持ちは変わらなかった。



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