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「そんな…獣人の村に行くのがいやなら、その獣人さんはまたどこかで一人で暮らすつもりなの?」

「さぁ、それはまだわからない。
最初は、町の奴らが襲って来るって言っても、あそこを離れないって言ったんだぜ。
それをダルシャ達がなんとか説得して……
なんていうのか…ちょっと自暴自棄みたいになってるところがあるんだ。
ずっと一人だったせいかもしれないけど、どうなっても良いって思ってるみたいな……
過去にもなんだかいろいろあったみたいだ。」

「いろいろって…一体、どんなことが?」

「そこまでは話してくれなかったけど、ジュリアスが持ってた願い石は、ジュリアスが獣人の村から盗んで来たって言ってた。」

セリナとジャネットは、驚いて大きく目を見開いた。



「そ、そんなことして大丈夫なの?」

「そりゃあ、大丈夫じゃないだろう。
だから、ジュリアスは、フーリシアからここまで逃げて来たらしい。」

「フーリシアから!?そいつはフーリシアから来たのか?」

「そうらしい。すごいだろ?
なんでも、イグラシアまでは貨物船に忍び込んで、イグラシアからは小舟を盗んでそれに乗って自力で渡ったらしいんだ。」

「……すごい獣人さんね。」




「お待たせ!!」

その時、部屋の扉が大きく開き、息を切らせたエリオットが飛び込んできた。



「必要なものは揃ったの?」

「うん。だから早く戻ろうと思って……」

「そっか、今、セリナ達に聞いたんだけど、ハンターは明日の夜、この町に来るらしいぞ。」

「明日…!?……危ない所だったね。
それで、君たちはやっぱり……」

「あぁ、俺とジャネットは……」
「私達も一緒に行く。」

「えっ!?」



別に行くと言おうとしたフレイザーにジャネットの声が重なり、意外なことを言いだした彼女に、フレイザーは困惑する。



「……ジャネット…本当に大丈夫なの?」

「ここからディーラまで戻るのも大変だし、イグラシアまではそれほど遠くもないから、獣人のことなんて無視してたらすぐに着くだろ。」

「そうだね。それじゃあ、早く出発しよう!」

四人は、慌ただしく準備を整え、宿を後にした。


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