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「さっきのジュリアスの話で思いついたことがあるんだ。
……確か、この近くだったと思うが、絹織物の工房があるはずだ。
実に、技術の高い品物を作っているので、うちでも良く購入している。
その者達は、貨物船で品物を運んでいた。」

「だから、何なんだ?
その店の奴らに、貨物船を借りるっていうのか?」

「まさか…それはあまりにも不自然だ。
だが、私が船を使った商売を考えているので、貨物船のことを知りたいとか、乗り心地を試したいと言えば、おそらく断らないと思うのだ。」

「なるほどな。
だけど、俺達は良いとして、ジュリアスはどうする?」

「そのことならもう考えてある。
私に任せておきたまえ。」

ダルシャは詳しいことは話さず、ただ、意味ありげな笑みだけを返した。







次の日の早朝、エリオットとフレイザーは町に向かって出発した。



「ジャネット、どう言うかなぁ…?」

「多分、いやだって言うだろうね。
でも、それも仕方ないよ。」

少しずつ色を変える空の下、二人は町に向かって足早に歩く。



「まぁ、そうだけど……
なぁ、エリオット……俺達、とうとう元の世界に帰れる所まで来たんだよな?」

「……そうだよ。
赤い双子石が手に入ったから、今すぐにだって帰れるよ。」

「今すぐって……」

「だから…それは言葉のあやだよ。
そんなことより、今はダルシャに言われたことを早くやらなきゃ…」

「あ、あぁ……」

不機嫌になったエリオットに、フレイザーはそれ以上話しかけるのをやめ、黙って歩きだした。



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