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「それはそうと、ダルシャ…
ジュリアスのこと、どうするつもりなんだ?」

ダルシャは、訊ねたラスターではなく、ジュリアスの方に顔を向けた。



「ジュリアス…決心してくれるか?
ここを離れることを……」

「そ、それは……」

ジュリアスは落ち着かない様子で、視線を伏せた。



「ジュリアス、お願いだよ。
君には危険が迫ってるんだ。
ここにいたら、君は間違いなく殺されてしまう……」

「エリオットの言う通りだ。
先のことはともかく、まずはここから離れないとやばいぜ。」



「なぜ、そんなに俺のことを……」



しばらく黙っていたジュリアスが小さな声でそう訊ねた。



「危険の迫っている友人をほうってはおけないだろう?」

「……友人?
俺のことを友人だっていうのか?
会ってまだ数日しか経たない…しかも、こんな出来損ないの獣人の俺を……」

「さっきも言ったが…私達は元々は知らないもの同士だ。
見ての通り、年齢も育った環境もまるで違う。
でも、今の私達は、そんなことは少しも気にしていないし、お互いがお互いのことを信頼してると思う。
……たとえ、私のことを嫌っている者がいたとしても、それなりに信頼はしてくれているのではないかと……」

「おい、奥歯にものの挟まったようなこと言うなよ。
確かに俺はあんたのことが嫌いだ。
金持ちで、気障で女好きでどうしようもない奴だと思ってるさ。
でも……恩だって感じてるし……そりゃあ、信頼だってしてる。
信頼してない奴と、こんなに長い旅は出来ないだろう。」

ラスターはそう言うと、ワインをぐいと飲み干した。



「ジュリアス…友人というものは付き合った時間の長さだけで決まるものではないと思うんだ。
少し言い方を変えるなら、ここに来る前から、私達は君と友達になることを当たり前のこととして考えていた。
君が願い石を持っていようがいまいが、私達は君の助けになりたいと思っていたし、仲良くなりたいと思ってたんだ。」

「……ダルシャ……」

ジュリアスは顔を上げ、潤んだ瞳でダルシャをじっとみつめる。


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