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「た、大変だよ!!」

両手に荷物を抱えたエリオットが血相を変えて、部屋に駆け込む。



「あ……」

エリオットは、部屋の中に、今朝はいなかったフレイザーの顔を見つけ、力が抜けたように両手の荷物を床に降ろした。



「お帰り、エリオット。
たくさんの買物、大変だったな。」

「買い物なんてどうだって良いよ。
フレイザーに話は聞いたんでしょ?」

ダルシャは、ゆっくりとした動作で頷いた。



「あぁ、聞いた。
とにかく、君も疲れただろう。さぁ、まずは座りたまえ。」

エリオットはダルシャに促され、長椅子の端に腰を降ろした。



「それにしてもフレイザー…かなり早くに出て来たんだね。」

「あぁ、大変なことだからな。
こっちがどうなってるのかもわからなかったけど、とにかく一刻も早く伝えなくちゃって思ったんだ。
かといって夜中に森を歩くのは危険な気がしたから、それで夜明けと共に出て来たんだ。」

「そう……
それで、どうすることに決まったの?」

「それは今から相談する。
私達も、つい今しがた、フレイザーから話を聞いた所だったんだ。」



フレイザーが小屋に来たのは、三人が昼食を済ませた頃だった。
こちらの状況がわからないフレイザーは、小屋の傍で身を潜めており、そこにたまたまラスターが外へ出て来たことで、ようやく無事を確認した。
フレイザーが、わざわざ森の中にやって来たのには、重大な理由があった。
それは、町の者達がジュリアスの始末を企てているという情報を伝えるためだった。



「ボク、買い物を済ませてから宿屋に行ったんだ。
そしたら、セリナ達から昨日の話を聞いて……
君は朝早くに森に向かったっていうし、もしかしたら迷ってるんじゃないかとも思ったし、とにかく焦って……
町からすぐに飛んで帰りたい気持ちだったけど、見られたらまずいかもしれないし、森までは歩いて森に入ってから飛んで来たんだ。」

「ペルージャではそれほど魔法使いに対して特別視はしていないはずだ。
だが、私が知ってるのはもっとイグラシア寄りの方だから、正直言ってこちらのことはあまりよくは知らない。
用心にこしたことはないな。」

エリオットは、小さく頷いた。



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