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「お…俺はずっとここで一人で暮らしたいんだ!
ほ、他の獣人となんて、住みたくない!」
「でも、寂しくはないのか?
それに、なにかあった時に……」
「俺はここが良いって言ってるんだから、それで良いんだ!
余計な口出しはしないでくれ!」
ジュリアスは突然感情を高ぶらせた。
その様子に、今は何を話しても無駄だと判断したダルシャは、それ以上、なにも話さなかった。
「それじゃあ…その話はなかったことにしよう。
ジュリアス、腹が減ったんじゃないか?
何か作るから待っててくれ。」
「作るって…あんた、何も出来ないじゃないか。
エリオット、それじゃあ、何か作るとするか。」
「う、うん、そうだね。」
ラスターとエリオットは、立ち上がった。
「台所はそっちだ。
そこにある物は勝手に使ってくれ。
なんでもたって野菜しかないけどな。」
「ボク達、魚や肉の缶詰を持ってるからそれを野菜と合わせて何か作るね。」
「ジュリアス……」
「俺はどこにも行かない。」
「……そのことじゃない。
私は、獣人のことがまだよくわからない。
だから、気を悪くしないでほしいのだが……君はまだ若い…もしくは子供なのか?」
ダルシャがそう訊ねると、ジュリアスは俯いて小さく肩を震わせた。
「俺の身体が貧弱だからだろ?
俺はもう立派な大人だ。
ただ、出来損ないだから、こんなに身体が小さいんだ。」
ジュリアスは、ダルシャ達が今までに出会ったどの獣人よりも小さかった。
一般的な成人の獣人は、長身なダルシャよりもさらに背が高いものだが、ジュリアスはダルシャよりわずかに背が低く、体格も筋肉質ではあるものの、どこか華奢な印象だった。
「そんな風に言うのは止した方が良い。
君は貧弱などではないし、出来損ないでもなんでもない。」
「何も知らないくせに知ったようなことを言うのはやめてくれ!
俺は出来損ないなんだから!」
「……つまらないことを訊いて悪かった。」
二人の間には、どうしようもない程の気まずい空気が漂った。
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