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「フェルにしちゃ良いこと言うじゃないか。」

「俺はおまえと違って真面目だからな!」

憤慨した様子で一際大きな声でそう言うフェルナンドを、アーニーは鼻で笑う。



「あんたら、願い石を探してるってことだが、次はどこに行くんだ?
ペルージャか、それともポーリシアか…」

「次はペルージャです。」

「そうか。そいつは都合が良い!」

アーニーは景気の良い音を立てて、膝を打った。



「実はな、俺はペルージャの願い石がどこにあるかを知ってんだ!」

思いがけないアーニーの言葉に、皆が驚きの声を上げた。



「そ、それ、本当なのか!?」

「あぁ、本当だ。
俺は、ペルージャに運んだ男の知り合いの家に厄介になってたんだが、そいつの家の近くに深い森があって、そこに住む獸人が願い石を持ってるらしいんだ。
ただ、そいつはものすごく凶暴な奴で、しかも、人間をひどく憎んでるらしくってな。
たまたま森で獣人と出くわしただけで殺された奴もいるらしい。
だから、その森に入る奴はいないってぇか、入らないことが暗黙の了解みたいになってんだ。」

「おまえ…そんないいかげんな話を……おい、ダルシャ、こいつの話なんて真に受けるんじゃねぇぞ。
こいつの話はいいかげんなことばかりだ。
そもそも獸人なんぞに関わったら、ろくな目にあいっこねぇ。
昔から、獣人が願い石を持ってるって話はよくあるが、そんなもん、本当かどうだかわかったもんじゃない。
やめとけ、やめとけ。
怪我でもしたら大変だ。」

「……アーニーさん、その場所を教えていただけますか?」

「ダルシャ!」

「大丈夫ですよ。
危険だと感じたら、すぐに引き返しますから。」

おまえがくだらないことを言うからだと、フェルナンドの小言が続く中、ダルシャは獣人が住むという森の場所をアーニーから詳しく聞き出した。



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