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フレイザーとエリオットはみんなに気付かれないように小さく頷いた。
二人は知っていた。
緑の願い石は双子石であろうことを。



「セリナ、そんなことはしなくて良い。」

「みんな、反対なの?
エリオット、あなたはどう思う?」

「ボ、ボクは良いと思うよ。」

「俺も賛成だ。」

「……ダルシャ…この石は君にやったもんだ。
君が決めたらどうだ?」

「……セリナがそうしたいなら、私は構わない。」

ダルシャは苦笑と共にそう答えた。


「だ、だから、だめだって!
そんなことに大切な願い石を使うんじゃねぇ!」

「……もう決まったんだよ。」

ラスターは二人の目の前から願い石を手に取ると、声高らかに願いを発した。



「フェルナンドとアーニーに、巫女を感じる力が宿るように!」



部屋の中に緊迫した空気が流れ、次の瞬間、それは呆気なく落胆に変わった。



「チッ、双子石か……」

ラスターの手の中で、緑の願い石はその姿を保っていた。



アーニーは突然大きな声で笑いだし、その笑いはフェルナンドにも感染する。



「全く、双子ってやつはどいつもこいつも役立たずだな。」

笑いすぎて流れ出た涙を拭いながら、アーニーはそう言って、にやりと微笑む。



「……ごめんなさい。」

「なんでセリナが謝るんだ。」

「俺達は感謝してるんだぜ。
まだ会って間もないっていうのに、そんな俺達のために大切な願い石を使おうとしてくれるなんて……
みんな、本当にありがとうな!」

フェルナンドの瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。



「私達は実は願い石を探してあちこちを旅しています。
今後もし願い石をみつけたら……」

フェルナンドはダルシャの言わんとすることを悟り、小さく首を振った。



「ダルシャ…さっきも言った通り、俺達はそんなことはのぞんじゃいない。
そりゃあ、巫女を感じる力があればもっと何か出来ることもあるかもしれないが、俺達がこんな風に生まれたのにはきっと意味があると思うんだ。
今は昔みたいに自分達のことを恥ずかしいとか惨めだとか思っちゃいない。
俺達は、ただ俺達の出来ることをやるだけだ。」

アーニーも隣で深く頷いた。

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