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アーニーは、ダルシャを見てにっこりと微笑んだ。
「別に隠してたわけじゃないんだけどな。
でも、こんなに早く当てられたのは初めてた。」
「おい、アーニー…俺達は護り人じゃないだろう。」
「またそんなことを……」
アーニーは、フェルナンドをみつめながら苦笑する。
「フェルナンドさん、どういうことなんです?
ダルシャの言ったことは本当なんですか?」
「俺達は正確には護り人とは言えない。
なぜなら、俺達は巫女を感じられないからだ。」
「巫女を…感じられない?」
オズワルドは、小さく首を傾げた。
「俺達は……護り人になれなかった出来損ないだ。
だが…心の中には護り人としての熱い血が流れている。
巫女に新たな命を授けることは出来ないが、少しでも役に立てたら…と。
それで、アーニーは、巫女を逃がす手伝いを始めたんだ。
俺は船はからきしだから、ここでも役立たずのままだった。
そんな時にレティシアがやってきた。
俺はなんとか彼女を安全な場所に逃がしてやりたいと思った。
ところが、アーニーは、なかなか戻らない。
だけど、彼女を追っていた奴等は始末した。
それは俺にとってとても大きな自信になった……なのに……こんなことに……」
長い話のうちに、フェルナンドは感極まり、その唇はわなないていた。
「そうだったんですか……
それでは、あなた方はご兄弟なんですか?」
「ええっ!?」
ダルシャの言葉に、皆が驚き、フェルナンドとアーニーを交互にみつめる。
「……あんたは本当に鋭いな。
いかにも。俺達は双子だ。」
「おかしいだろ?全然似てないのに。
だけど、俺達は同じ日、同じ母親のお腹から生まれた。
俺の兄と弟はまともな護り人だ。
俺とアーニーだけが出来損ないなんだ……」
「フェルナンドさん、そんなことないわ!」
突然大きな声を上げたのはセリナだった。
「その通りだよ。
ボクもそう思う。
フェルナンドさんはさっき言ったよね。
護り人としての熱い心があるって。」
「巫女のためなら、命を落とすこともいとわない……
そんな強いお気持ちを持たれているあなた方は、立派な護り人だ。」
三人の言葉に、アーニーとフェルナンドは、そっと目頭を押さえた。
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