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「フェルナンドさん、この人達がさっき話した人達です。」

「初めまして、フェルナンドさん。私はダルシャです。」

ダルシャが差し出した手を、フェルナンドは固く握り締めた。



しばらくしてオズワルドは、フェルナンドを連れて帰宅した。
フェルナンドは、六人と代わる代わるに挨拶を交わした。



「あんたらにはオズワルドがいろいろと世話になったようだな。
……それと……レティシアのことも聞いた。
まさか、こんな近くでそんなことになってたなんてな…」

「あの集落の方とはあまり会われないんですか?」

「そうだな。みんなそれぞれに忙しくしてるから、祭りの時やなにかあった時くらいしか会わないな。
だからこそ、レティシアのことも気付かなかった…」

「そうだったんですか……」

気落ちした様子のフェルナンドに、まわりの雰囲気も引きずられるように沈みこんだ。



「元はといえば、アーニーがいなかったのが悪いんだが……」

「アーニー?」

「あ、あぁ…レティシアが探してた男だ。
いつもならもうとっくに戻ってて良い頃だが、奴は一向に戻ってこない…
もしかしたら、あいつも事故にでもあったのかもしれないな。」

「あぁ、船を持ってらっしゃる方ですね。」

フェルナンドは小さく頷いた。



「あいつは船の扱いには自信を持っていたが、あいつが沖に出てから、嵐が来たことがあったんだ。
もしかして、あの嵐の時に……」

「アーニーさんは、その時はどこに行かれてたんですか?」

「あいつは、そういうことは誰にも一切言わないんだ。
訳ありの者ばかりを運んでるから、用心してるんだろうけどな。
俺のことまで信用しないとは、全く困った……」

その時、慌ただしい足音がして、若い男が部屋の中に飛び込んできた。

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