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「ラスター……今から皆をここに呼んできて!」
「え……?なんだってそんな……」
「いいから、早く!」
ラスターは怪訝な顔をしながらも、セリナに言われた通りに駆け出した。
「セリナ……」
「エリオット……あなたが考えていることは……悲しいことだけれどきっと現実だわ。」
「セリナ……やっぱりそう思う?」
セリナは小さく頷いた。
「……一体、どうしたというんじゃ?」
「うん、ちょっとね……あ、おばあさん、その人は……女の人は今、どこに?」
「村の墓地じゃよ。
誰だかわかるようなものも何もなかったからな。
親族に連絡を取りたくてもその方法がわからんでのう。」
「そう……ありがとうね。」
「なぜ、おまえさんが礼を言う!?」
エリオットは、その問いかけにただ曖昧に微笑んだだけだった。
「ところで、おばあさん、もう足は大丈夫なの?」
訝しげな顔をする老婆に、二人は他愛ない話をして、時間を稼ぐ。
「あぁ、もうなんともない。
迷惑をかけてすまなかったな。
……あ!そうじゃ!さっきはビンタまでしてしまって本当にすまなんだ。
」
「あ、そうだったわね。あれは本当にびっくりしたわよ。」
「おばあさん、意外と力が強いんだね。
ボク、頭が吹っ飛ぶかと思ったよ。」
他愛ない会話を続けるうちに、小さなラスター達の姿が近づいてくるのを二人はみつけた。
「……オズワルドさん……がっかりするだろうね……」
「そうね……」
これからのことを考えると、二人の心は、暗く沈むばかりだった。
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