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「私、あなたと出会えて良かった……
エリオット、これからもずっと仲良くしてね。」

「……こちらこそ。」



ずっと一緒にはいられないことはわかっていたが、本当のことを言うわけにもいかず、エリオットはセリナと目をあわすことなくそう答えた。



「それにしてもとても綺麗な眺めね。」

「本当だね。
なんだか、ここからだと空に向かって飛び立てそうだね。」

「エリオットなら出来るわね。」

「え?……あ、そっか!」



「こらぁ〜〜!」


二人の笑顔を、突然の大きな怒声が崩した。



杖を振り回しながら二人に近付いてくる老婆の姿に、二人の表情は強張りはじめる。



「エリオット、私達、何かした?」

「し、してないと思うけど……」

二人が戸惑っている間にも、老婆はどんどんと近付いて来る。



「この馬鹿者〜!」



やがて、二人の傍に来るなり、老婆は二人の頬を激しく打ち付けた。



「な、な……」



あまりにも急なことに、頬を押さえ、何と言えば良いのかもわからない二人を老婆はじっと見据えた。
そのしわがれた瞳には、だんだんと涙が浮かんでいく。



「……おばあさん?」

「い、命を粗末にする者は馬鹿者じゃ!」

「い、命って……」

「どんな辛いことがあったのかはわからんが、命と引き換えにせにゃならん程のことなんぞ、この世にはありゃせん!
そんな風に思うのは、ただの思い込みじゃ!
さぁ、この婆に話せ!
あんたらが何をそんなに苦しんどるのか、この婆に全部話すんじゃ!」

涙ながらにそう訴える老婆に、二人は思わず顔を見合わせた。


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