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「ありがとう、ダルシャ。
この島には長くいるけど、こんなにうまいレストランがあるなんて、今日まで全く知らなかったよ。」

率直に感謝を述べるオズワルドに、ダルシャはワイン片手に小さく頷いた。



「それはそうと……明日からは私達も一緒に彼女を探すつもりだが……もう一度考えてみてくれ。
なにか特別な場所はないのか?
彼女が気に入っていたとか、なんらかの思い出のようなものがあるとか……」

「それが……さっきも言った通り、まるで思い付かないんだ。
一番思い出深いといえば、しばらく住んでた家くらいしか……」

オズワルドは、そう言って、ゆっくりと目を閉じた。



「ねぇ、この島に観光客が好んでくるような場所はないの?
ロマンチックな場所とか伝説の場所とかは?」

「いくつかあるにはあるが、人が多い所にはあえて行かなかった。
奴等を始末してからは一ヵ所だけ行ってみたけど、レティシアらしき人は来てないって……彼女は奴等全員を始末したこともまだ知らないし……あ……」

話の途中で、オズワルドは何かを思い出したかのように言葉を途絶えさせた。



「何か思い出したのか?」

「船着き場に行ったことがある。
レティシアの知り合いがいたら、そこからポーリシアに逃がしてもらえるかもしれないって言ってたその場所だ。
そこは巧みに隠されていて、余程の偶然でもない限り、みつけられない場所なんだ。
知人にそこに連れていってもらった時、レティシアはうっとりしたような顔をしていた。
きっと、逃げることを思い描いたんだろうな……」

「そこには行ってみたのか?」

「いや……今まであそこのことは忘れてた。」

「ならば、明日はそこに行ってみよう。」

ダルシャの提案に、みんなが頷く。



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