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「でも、あんたらがここについてから、奴らも…」
「そうなんだ。
運良く、おかしな奴らが探してたって教えてくれた人がいたから、僕らは逃げおおせることが出来た。
だけど、それからは旅行気分もどこへやらだ。
奴らにみつからないようにレティシアの知り合いを必死に探した。
だが、知り合いはなかなかみつからないし、追い詰められて、本当にもうおしまいかってことも何度かあったんだ。
そのうちに、レティシアは僕に町に帰るように言い出した。
奴らが探してるのは私だけだからって言って…
だけど、そんなこと…聞けるはずがない!」
急に感情的な声を上げたオズワルドに、皆、驚いたような視線を向けた。
「……彼女を愛してしまったんだな…?」
ダルシャの問いにオズワルドは、俯いたまま小さく頷く。
「おそらく…会った瞬間から、僕は彼女にひかれてた。
一目惚れなんて、こんな年になってからするとは思わなかったよ。
そして、一緒に旅をしているうちに、僕はますます彼女のことが好きになってしまったんだ。」
「だが、護り人である君は……」
「そうだよ。
僕にはそんな気持ちを打ち明けることなんて出来ない。
だから……僕はいずれ、彼女に命を託す役目を果たそうと思ってた……」
オズワルドのその言葉に、セリナは苦しそうに顔を歪めた。
「そうだったのか…
それで、彼女とはいつどんな風に別れたんだ?」
「僕らはレティシアの知り合いの知り合いが貸してくれた家に隠れていたんだけど、ある日、そこを奴らの一人にみつかった。
その時は、僕と知人がいたから、なんとか返り討ちに出来たものの、僕と知人は怪我をした。
特に、知人の怪我は酷いもので、レティシアはそのことをとても悔やんでいた。
それから数日後、レティシアは突然姿を消した。
ちょうどその頃、今度は二人組が近くに現れ、僕は知人の仲間達に協力してもらって、奴らを葬った。
島についてきたのは三人だから、もう危険はないはずだ。
なのに、レティシアは姿を消したまま、相変わらず出てこない。」
「今、君は、出てこないといったが、彼女はすでにこの島を離れたということはないのか?」
オズワルドは、小さく手を振った。
否定の意味での動作だ。
「それはない。定期船に彼女が乗れば、知人の仲間が教えてくれるし、僕はまだ彼女が近くにいるのを感じるんだ。」
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