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「それにしても、君は石の巫女とずっと一緒だったんだろう?
それなのに、なぜ、彼女を探している?」
「それは……」
「いきなりこんなことを言っても無理かもしれないが、どうか私達のことを信じてすべてを話してくれないか?
私達にもなにか君の力になれることがあるかもしれない。」
オズワルドは、何かを考えるかのようにじっと一点をみつめて黙っていたが、やがて、小さく息を吐き、ゆっくりと頷いた。
「わかった。
少なくとも君達は奴らの仲間じゃなさそうだから、話すよ。
だいたいのことは知ってるみたいだが……かいつまんで最初から話そう。
石の巫女、レティシアが僕の住む町に来たのはただの偶然だった。
僕は初めて感じた不思議な感覚に前夜から眠れなくてね……」
「巫女に会うのは初めてだったのか?」
「そうだ。
護り人とは言っても、巫女に会わないままに死んでいく者の方が多いからね。
僕もそうなるものだと思ってた。
だから、あの感覚を感じた時は本当に興奮したよ。」
オズワルドは、楽しかった思い出話をするかのように、少し微笑んで話した。
「次の日、僕の感覚が間違いではなかったことがわかった。
レティシアが現れたんだ。
彼女は悪い奴らにつけまわされているのをどうにか巻いて来たと言っていた。」
「あの町にいるのは危険だったのか?」
「彼女がこの島に行きたいと言ったんだ。
頼れる人がいて、ポーリシアに逃がしてもらえるかもしれないって。」
「なるほど……
それで、ここに……」
「奴らにみつからないかって、僕はひやひやしていたんだけど、意外と一度も危険な目にはあわなかったんだ。
慣れてくると、まるで、二人で旅行をしているみたいでね。」
そう話すオズワルドの顔には明るい笑みが宿っていた。
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