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「ねぇ、一体いつまでこうしているつもり!?」

こんな風に感情を顕にすることは、セリナにしてはとても珍しいことだった。



「セリナ…苛々しないで。
きっともうすぐだよ。」

「もうすぐ、もうすぐって…もう聞きあきたわ!」

ますます感情を高ぶらせるセリナに、二人は困ったような顔を浮かべた。



「セリナ…一体どうしたんだよ。」

「ラスターこそ、どうしたの?
昨夜は信頼してくれって言ってくれたじゃない。
だから、安心してたのに…なのに、どうして急に…」

ラスターは、セリナの言葉に唇を噛み締めた。



「……ごめん。
ここに来たら…俺…急に怖くなったんだ。」

「……怖い?」

ラスターは深く頷いた。



「ここに来た途端、巫女を狙ってる奴らのことが急に身近に感じられるようになったんだ。
ここは島だから、船が来ないことには逃げることも出来ない。
そう思うと、本当に怖くなってきた。
絶対にセリナを危険な目に合わせるわけにはいかない。
だけど、奴らがものすごく強くて俺がすぐにやられてしまったら、セリナはどうなる?
そんなことを考えたら…どうしようもなく怖くなってきたんだ。」

「ラスター……」

ラスターの意外な言葉に、セリナの顔には戸惑いが浮かんだ。


「ボクもラスターと同じだよ。
この前みたいなことになったら……ボクは魔法を使うことが出来るだろうか……
いざって時に、躊躇って魔法が使えなくて、それで、セリナに何かあったらって思ったら……ボク、すごく怖いよ。」

「エリオット……」

セリナはエリオットの両手を握り締めた。



「あなた達、そんなに私のことを……それなのに、私は…」

セリナが話している最中に、扉を叩く音が響いた。
部屋の中はにわかに緊張感に包まれた。



「はい、誰だ?」


返事を返したのはラスターだった。

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