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「ラスター…どうかしたの?」
「え…?どうかって……だから……」
「ラスター…あの事、話さなきゃ…」
促すフレイザーにラスターはうんざりしたような顔を浮かべた。
「あの事?
そういえば、さっきも言ってたわね。
一体、何のことなの?」
「あぁ、わかった。話すよ。話せば良いんだろ?
みんなには言わなかったけど……胡散臭い奴等が巫女らしき女を探してたのは……実は、もう半年ほど前のことだったんだ。」
「えーっ!」
セリナとエリオットは同時に驚きの声を上げた。
(セリナ、わかったよ。
だから、ラスターはあんまり警戒してなかったんだ。
半年も前のことだから、もう危険な奴らは近くにはいないと思って……)
(きっと、そうね。)
小声で囁くエリオットにセリナは小さく頷く。
「だ、だって、半年前のことだなんて言ったら、そんなのは当てにならないとか、今からじゃ間にあわないとか言われるに決まってんだろ?
でも、俺は、これはなにか大切なことがわかるんじゃないかって…そんな気がしたから……」
「なぁ、多分、護り人と一緒にいたのは、ラスターが聞き込んで来た巫女じゃないか?」
「あぁ、間違いない。
私達はあんた達とは反対側の街道を通ってきたが、巫女らしき女の話はカルボのすぐ近くの港町でしか聞けなかった。
つまり、こっち側は通ってないってことだ。」
フレイザーとジャネットは、ラスターの言葉を無視して、セリナ達にそう話した。
「ちょっと待ってね。
エリオットは荷物から地図を取り出し、テーブルの上にそれを広げた。
「ここがカルボ。」
エリオットは大陸の南端を指し示した。
「ここから、ラスター達はこっちに、ボク達はこっちに向かった。
このあたりが護り人さんの住んでた町で、ここから、こことここ…それからここで二人らしき男女の情報を聞いたんだ。」
エリオットの説明にラスターも思わず身を乗り出す。
「俺達はここで巫女らしき女の話を聞いたのが最後だった
多分、巫女はここで脇道にそれて、こっち側に移ったんだな。
だから、ここからぱったりと消息がわからなくなったんだと思う。」
「きっとそうだろうな。」
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