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「実はね……私達が探してた人は……護り人なの。」
「な、なんだって!?」
ラスターは、目を丸くしてセリナの顔をじっと見つめた。
「だけど、その人は家にはいなかった。
近所の人の話では、何か月も前に家を出たっきりだっていうことだったわ。」
「なんで、その男が護り人だってわかったんだ?」
「え、えぇ…そ、それは本人がぽろっとそんな話をこぼしたらしいわ。
女性が仕事を訊ねたら、石の巫女の護り人だって……」
咄嗟の質問に、セリナはラスターとは視線を合わさずにそう答えた。
「そんな重要なことを話したのか!?」
「た、多分、お酒でも飲んでたんじゃない?
そうじゃなきゃ、普通はそんなこと言わないと思うよ。」
「なんだかあてにならない男だな。
第一、護り人がそんな店に遊びに行って良いのかよ!」
エリオットの出した助け舟は、少しも効果を発することなく、ラスターは憤りをテーブルにぶつけた。
「そ、それは……あ!違う……お店に行ったのは護り人の知り合いの人だよ。
その人が、女の人に護り人さんの話をしたって…確かそうだったよね?セリナ?」
「そ、そうだったわ!
ごめんなさいね!
そんな重要なことをみんなに話さなくて……」
「い、いや、別に……」
「し、仕方ないさ。」
セリナとエリオットに加え、フレイザ−とジャネットもみなしどろもどろになりながら、どうにかその場をやりすごした。
「それで、護り人の行方はわかったのか?」
「いえ、まだわかってないの。
だけど、その前に大切なことが……
護り人はどうやら巫女と一緒だったってことがわかったの。」
「な、なんだって!?」
「まだ若い金髪の長い髪をした巫女と、護り人さんは一緒にどこかに向かったようなのよ。」
「若い金髪の女…!?」
それを聞いたラスター達は、料理を口に運ぶ手も停めて、なかなかその驚きから覚めなかった。
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