35
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一つの部屋に久しぶりに懐かしい顔ぶれが集まった。
エリオットとセリナが部屋に荷物を置くなり、ラスターが聞きたくてたまらなかった質問を口にした。
「それで……願い石はみつかったのか?」
「いや、まだだよ。
ちょっと意外なことになってね。」
「そうか、みつかってないのか……」
ラスターは、どことなく気分の良さそうな顔で何度も頷く。
「ラスターの方はどうなの?」
「え…?そ、そりゃあ、こっちもまだだけどな。」
「ラスター…あのことを話したらどうだ?」
「あのこと……?」
ラスターは、眉間にしわを寄せ、フレイザーにきつい視線を返した。
「何?あのことって…何のことなの?」
「白状したらどうなんだ!?」
今度はジャネットにそう言われ、ラスターは渋い顔をしながら頷いた。
「あぁ、わかった、わかった。
実はな……」
話し掛けた時に部屋の扉がノックされ、食事が運ばれて来た。
二つ並べられたテーブルの上に、次々に料理が運ばれ、ラスターはそれらが並びきらないうちに席に着いた。
「うまそうだなぁ…あ、酒は持って来てくれたか?」
「あぁ、これで良いだろ?
この地方の地酒なんだが、けっこううまいぜ。」
「へぇ、そりゃあ楽しみだな。」
食事の準備が整うと、ラスターは真っ先に料理に手を着けた。
「おっ!こりゃあ、けっこううまいぞ。
エリオットも、早く食べてみろよ。」
「う、うん。」
「それにしても、ひさしぶりだな。
ま、みんな元気そうでなによりだ。」
ラスターは言いたくない話を煙に巻こうとでもするかのように、どうでも良いような話を始めた。
「元気なのは元気なんだけど、実はそう呑気にしてられる場合でもないのよ。」
「どういうことなんだ
ダルシャになにかあったのか?」
「最初から話さなきゃならないわね…ちょっと待って。」
そう言うと、セリナはエリオットに耳打ちをして、二人はひそひそと内緒話を始めた。
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