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「残念だがそんな女は来てないね。」

「じっくり考えてくれよ。
最近のことじゃない。
もう半年も前のことなんだ。
あ、あんたの他にここの係りはいないのか?」

「俺はここが休みの日以外はずっと休まずここに来ている。
半年前のことを忘れるような年でもないし、そんな女は絶対に来ちゃいない。」

「……そうか。ありがとうよ。」



フレイザー達は、町に着く度に船着き場に向かっては、女性の情報を聞き込んだ。
ところが、どの船着き場でも、女性はおろか柄の悪い男達の情報も耳にすることは出来なかった。




「……おかしいなぁ、どこにも立ち寄ってないなんて……」

「でも、直接、レイボーンかパルメンを目指したとしたら、こんな小さな港に立ち寄るはずはないぞ。
ここらから出てるのは、ほんの近くの港までの船ばかりだし。」

「だけど、宿にも泊まってないっていうのはおかしくないか?」

「追われてるんだったら、それも不思議はないと思う。
宿なんかに泊まってたらすぐに足が着くからな。」

「でも、そもそもあいつらも来てなさそうなんだよな。
皆、一体、どこへ行ってしまったっていうんだ?」



煙のように消えてしまった女性と男達の形跡に、三人はこれから先、どうすれば良いものかと酷く困惑した。



「もしかしたら、このルートは通ってないんじゃないか?」

「でも、だとしたら巫女達はどこからどうやって行ったっていうんだ?
その前に、行き先はどこなんだよ?」

ジャネットが不服そうな顔をフレイザーに向ける。



「行き先はもちろんパルメンかレイボーンだと思う。
多分…巫女は奴らに見つからないように身を潜めて移動して…男達は、カルボから船でパルメンかレイボーンに向かったんじゃないか?
先回りして、港で巫女を捕まえようと……」

「……とりあえず、行ってみないことにはわからないってことだな。
仕方ねぇ!諦めずにゆっくり行こうぜ!」


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