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「それにしても、さっきは驚いたよ。」

料理を口に運びながら、フレイザーが他人事のように呟いた。




「驚くって……何を?」

「何って……おまえの作り話だよ。
突然、あんなこと言い出すから、俺、焦ったよ。」

「だ、だけど、あの時はあんなことでも言わなきゃ、爺さんは私達のことを疑って何も教えてくれなかったかもしれないじゃないか。」

「ま、その通りだな。
それに、あんたが以前みたいに。真っ黒なフードをかぶって男のなりをしてたら、怪しまれてたかもしれないぜ。」

薄笑いを浮かべながら話すラスターに、ジャネットは不機嫌そうに顔をそむけた。




「そうだよな。
以前のジャネットはかなり胡散臭かったからなぁ……」

「あんたまでそんなことを言うのか!?」

「またすぐに怒る……
俺は、今はこんな風に可愛らしく変わってくれて嬉しいって言いたいだけだよ。」

フレイザーの言葉に、ラスターは冷やかしの口笛を奏でた。



「あ〜あ、全くお熱いことだな。
俺も、この旅が終わるまでにはエリオットとそんな風になりたいもんだ。」

「……ラスター…君は本気でエリオットのことが好きなのか?」

フレイザーの質問に、ラスターは一瞬驚いたように目を丸くした。



「本気っていうか……あぁ、本気といっても良いだろうな。」

「でも、あんたはセリナも好きなんじゃないのか?」

「セリナは…なんていうか…ちょっと違うな……
俺、スラムで育っただろう?
生きるのに精いっぱいな暮らしだったから、それまで、友達とか…大切に想う相手なんて一人もいなかった。
……そんな時、俺はセリナと出会った。」

「確か、セリナが絡まれてる所を君が助けたんだよな?」

「そうなんだけど……」

ラスターは一言だけそう言うと、グラスの酒をぐいとあおった。


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