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「エリオット、セリナの様子はどうだ?
食事もあまり進まないようだったが……」

「やっぱり、護り人さんの話が堪えたみたいだね。
部屋でもいつもみたいには話さないよ。
考え過ぎかもしれないけど、なんだか一人にしておくのが心配だったから、今はジャックに一緒にいてもらってるんだ。」

「そうか……それも無理はない。
あんな話を聞かされたんじゃあな……
出航までに数日あるようだから、町にでも連れ出して気晴らしをさせてやってくれ。」

「うん、そうするよ。」

ダルシャは出航の時間を見に行こうとエリオットを呼び出し、セリナの様子を聞き込んだ。
港町に着くまでの間も、そして着いてからもセリナの口数はいつもよりずっと少なく、表情も暗く沈みこんでいた。
原因はわかっているとはいえ、そのことには皆が気を揉んだ。



「あ、あそこに書いてあるようだな。」

出航の時間を確かめると、ノーランシアへもフォスターへも二日後だということがわかった。



「なんだ、宿の主人の話じゃノーランシアへは数日あるということだったが二日後じゃないか。
確かめに来て良かったな。」

「そうだね。
……フォスター行きの方はずいぶんと朝が早いね。
子供達、ちゃんと起きられるかな?」

「大丈夫だ。
私達もいるんだからな。
……それにしても、皆、すごい食欲だったな。」

「それに引き換え、ボク達は皆いつもより食べられなかったね。」

「老人の話は、衝撃的だったからな。」



二人は、出航の時間を紙切れに書き付け、今来た道を戻り始める。



「……ねぇ、ダルシャ……
石の巫女は、この世界にとってどういう存在なんだろう?
護り人さん達が命を賭けてまで護らないといけないのは、どうしてなんだと思う?
願い石をみつけるのに、巫女が必要だから?
でも、ほとんどの人は願い石のことを伝説みたいに思ってる。
本気で探そうとしているのは、一握りの人間だけだと思うんだけど……」

「私にもその理由はわからない。
だが、何事にも理由はあるものだ。
巫女は、きっと、命を賭けてでも護らなくてはならない程、この世界にとって必要な存在なのだろう……」

そう呟いたダルシャの横顔を、エリオットは黙ったままでじっとみつめた。


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