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「あ、多分、あれだな!」

「家の前におじいさんが立ってるぞ。」

次の日の朝、六人はアンディから聞き込んだ村はずれの老人の家を訪ねた。
その家はアンディの家からさらに山の方へ向かった辺鄙な場所にあり、家の前には小柄な老人が立ち、六人の事を落ち付かない様子で見ていた。
老人の姿がはっきりとわかる程の距離にまで近付くと、老人はついに家の前を離れ六人の傍に駆け出した。



「おぉ……
あんただな!
あんたが石の巫女なんだな!」

老人は他の者には目もくれず、真っ直ぐにセリナの傍に駆け寄り興奮した様子でセリナをみつめた。



「え……えぇ、その通りです。
でも、どうしてわかったんですか?」

「わしは巫女の護り人だ。
わかるのは当たり前……とはいえ、実を言うとわしは巫女に会うのは初めてなんだ。
昨日からなんだか全身がむずむずするというのか、なんとも言えない落ち付かない気分でな。
夜もほとんど眠れなかった。
もしかしたら、これは近くに巫女がいるということかと気になりながら、はっきりとした確証もなく……でも、きっと会えると思ってさっきから待ってたんだ。
おまえさんは、まだお若いようだが……子がほしいのか?」

「子……!?
い、いえ、違います。
実は、私はあなたにいろいろとお訊ねしたいことがあって来たのです。」

「訊ねたいこと?
わしにわかることならなんでも答えよう。
とにかく、家に……」

老人はセリナの背中をそっと押しながら、振り返り他の者達に目を向けた。



「ところで、この人達は?」

「あぁ、この人達なら私の旅の仲間です。」

「……話が済むまでどこかで待っていてもらうかな?」

「いえ……皆にも聞いてもらいたいので……」

「……信頼出来る人達だということかな?」

セリナは老人に向かってゆっくりと頷く。



「そうか、なら大丈夫だな。
じゃ、皆、行こうか!」

老人を先頭にして、六人は老人の家を目指した。


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