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「フレイザー、ジャック、遅いじゃないか!」

「……遅いって?」

サンドラの家に付いた早々、えらく焦った様子のエリオットの出迎えに、フレイザーもジャックも怪訝な表情を浮かべた。



「いいから、早く中へ!」

エリオットに手を引かれ、わけがわからないまま、フレイザーとジャックは家の中へ入った。



「……あれ?イリヤは?」

「イリヤならフォスターに買い物に行かせたよ。」

「そうなのか。珍しいな。」

「……実はね……昨夜、大変なことがあったんだ。
ゆっくりしている暇がないから、簡単に話すね。」

そう言うと,エリオットは昨夜の出来事を素早く話し始めた。



「そんなことが……
え……?そ、それじゃあ、本物の願い石は別の場所にあるってことなのか!?」

フレイザーは急に気付いたそのことに、目を丸くして訊ねる。



「そうなんだ。
場所ももうわかってる。
だから、君達が来るのを待ってたんだ。」

「じゃあ、呼びに来ればよかったじゃないか。」

「もっと早くに来るって思ってたから、行き違いになっても困るって思って……
あぁぁ、そんなことはもう良いよ!
とにかく、今からやってみるから、表へ行こう!」

「表へ?」

フレイザーとジャックが戸惑う中、エリオットはサンドラの手を引き、すでに歩き出していた。



「えっと……これで……と。」

エリオットは、板切れの前で呪文を唱える。
板切れは,次第に地上から浮かび上がり、エリオットの腰あたりの高さに浮かんだ。



「す、すごい。
エリオット、本当に魔法が使えたんだな。」

「今頃何言ってるんだよ。
ジャック、ボクの後ろに乗って!」

そう言いながら、エリオットは板切れの上に座った。



「え…?お、俺が!?」

「そうだよ、早く!」



これから何が起きるかもわからないまま、エリオットの声に急かされ、ジャックは言われた通りに後ろに飛び乗る。



「じゃ、行くよ!」

「わ、わぁ!」



板切れは急に沼の方へ動き出し、ジャックはバランスを崩してエリオットの身体にしがみつく。
フレイザーとサンドラはそんな二人の様子をじっと見守った。


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