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それからというもの、イリヤとエリオットはエレのケーキをせっせと焼き、ジャックとフレイザーはそれを持って毎日フォスターで売りに出かけた。
いつしかそのケーキの評判は町中に広がり、ケーキを扱っても良いという店も何軒か名乗りを上げた。



「今日は大半がダルシャの注文だから、おまえは来なくても良かったのに……
このところずっと毎日フォスターへ往復してるから、疲れたんじゃないか?」

「大丈夫だって言ってるだろ?
却って良い運動になって体調が良いくらいだ。
だけど、今日はセリナが用があるらしいから、ちょっとつきあってきて良いか?」

「あぁ、構わないぞ。
今日はすぐに売りきれるだろうからな。
こんなに売れるなら、もう一台オーブンを置いて、どんどん焼けば良いのにな。」

「そりゃあ無理だ。
このケーキは火加減が難しいって話じゃないか。
あのイリヤでさえまだばあさんに見てもらわないと不安だって言ってるくらいなんだぜ。
それに、この先、エリオットが手伝えなくなったら、イリヤ一人で全部やらなきゃならないんだからな。」

「そりゃそうだ…残念だが無理そうだな。」



フォスターに着くと、フレイザーはいつもの広場に……
ジャックは、セリナの待つ宿に向かった。







「ジャック、待ってたわよ!
さぁ、行きましょう!」

「な、なんだよ、着いて早々出掛けるのか?」

「そうよ。
……疲れてる?」

「いや……」

ジャックは、小さく首を振る。



「じゃあ、行きましょう!」

セリナに手を引かれ、ジャックは息先もわからないまま、セリナに着いて通りへ飛び出した。



「……なんだ、買い物だったのか……」

セリナがジャックを連れて行ったのは、通りの雑貨屋だった。
セリナは、真剣な顔つきで服を見て回る。



「あんまり派手なのはだめだろうけど、地味過ぎるのも良くないわね……」

セリナは独り言を言いながら、服を選び、ジャックは店の隅で手持ち無沙汰にセリナの服選びが終わるのを待っていた。



「ねぇ、ジャック…
こっちのとこれ……どっちが良いと思う?」

セリナはベージュの小花柄と白地に水玉のドレスを並べて見せた。



「そうだな…こっちの方がセリナには似合うんじゃないか?」

ジャックは、水玉の方を指差した。



「それじゃあ、こっちね。」

セリナは笑いながらそう言うと、ベージュの小花柄のドレスとそれに似た色の帽子と靴を買い揃えた。


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