「今、思い出したんだが…
ここへ来る途中、脇道があった気がするんだ。
もしかしたら、セリナはそっちに行ったなんてことはないだろうか?」

「なるほど!小さな道のことはこの地図には描いてないもんな。
ここのおやじに聞いてみよう!」







「なんだって!!」

宿の主人から聞いた話に、三人は言葉を失った。



「道に立て札がしてあっただろ?」

「いいや、そんなものはなかったぜ!」

「おかしいなぁ…また誰かが引っこ抜きやがったのかな?」



宿の主人の話は衝撃的なものだった。
エアロスの町からラシーナへ向かう途中にある道は、魔の山と呼ばれる山へ続いているという。
その山はこの世と少し違う世界の狭間にあり、そこにはエルフ達が住まい、魔の山に迷いこんで無事に山を降りた者はただの一人もいないということだった。



「なんせ、エルフ達は人間のことをとても嫌ってるからな。
多分、迷いこんだ者は一生働かせられるか、殺されて食べられてるんじゃないかって話だぜ。
エアロスの町の宿屋には必ず魔の山についての注意書きがしてあるはずだが、あんたらは読まなかったのかい?」

「俺達、宿には泊まらなかったからな。」

「そうかい。
とにかく、あそこは死にたい奴くらいしか行かない所だ。
絶対に近付くんじゃないぞ!」







「……ラスター、どうする?」

「どうするって…」

「セリナがそこに行ったという確証はないんだ。
それに…万一、行ったとしてもおやじの言う通りなら…きっとセリナは…」

「それ以上言うな!」

ラスターが声を荒げた。



「……やっぱり、もう一度エアロスに戻ってみるか?」

「……俺は……」

フレイザーとエリオットはラスターの言葉を待った。



「……俺は、魔の山に行ってみたい!」

「正気か?
あの山に入ったら二度と戻って来られないかもしれないんだぞ!」

「セリナは…少し方向音痴な所があるんだ。
だから、俺の住む町にも迷いこんだ。
そう考えると、きっと、セリナはラシーナに行くつもりで違う道へ進んでしまった…そんな気がするんだ。」

「なるほどな…そういうことなら、おまえの推測通りかもしれないな。
しかし……」

「フレイザー、大丈夫だよ!
僕には魔法が使えるんだから、いざという時はきっと脱出出来るよ!」

エリオットは親指を突き立て、片目を瞑ってポーズを決めた。



(こいつ、この世界に来て、なんだか性格変わったなぁ…)



「よし!じゃあ、話は決まりだ!」



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