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「しかし、おかしな話だな。
マリーナにもラシーナにも行ってないとは…セリナは一体どこへ行ったっていうんだ?」
「まさか、途中で悪い奴らに拉致されたんじゃ…」
エリオットの言葉に、ラスターが大きく目を見開く。
「なるほど!馬車か何かに乗せて運んだら、誰にもみつかることはないよな!」
「そ、そんなこと…あるもんか!」
ラスターは、突然立ち上がり大きな声をあげた。
「でも、ラスター。
それじゃあ、セリナはどこへ行ったって言うんだ?」
「それは…だな…」
ラスターは、苛々した顔つきで唇を噛み締めた。
「とにかく…セリナは捕まってなんかいない!」
ラスターは、そう言って力をこめてテーブルを両手で叩く。
「どうしたんだ、ラスター、落ちつけよ!」
ラスターのただならぬ様子に、フレイザーは彼を座らせ冷たい水を差し出した。
「こんな時は酒にしてほしいもんだな。」
「えっ?おまえ、酒なんか飲むのか?」
「あんたらは飲まないのか?!」
逆に問われたエリオットとフレイザーはお互いに顔を見合わせた。
「あ…じゃあ、僕、お酒買って来ようか?」
「いいよ。どうしても飲みたいってわけじゃないから。
……こっちこそ、苛々して悪かったな。」
「そんなことは良いけど…なにか理由でもあるのか?」
「……セリナは、言ってた…
あの石を悪いことに使おうとする奴には絶対に渡さないって…」
「それが何か?」
「何か?!…よく考えてみなよ。
そいつらは、石のためならなんでもするような奴らなんだぜ。
セリナが、石のありかを話さなかったら、奴らはきっとセリナのことを…」
その言葉に、フレイザーとエリオットの顔から血の気が失われていく。
「それは大変じゃないか!
急いで探さなきゃ!」
「だけど、その手掛かりがないから困ってるんだろ!」
「二人共、落ちついて!
……もう一度、考えてみようよ!
エアロスの町まで来てたのは、間違いないんだから、そこから先で何があったかだよ。
まずはどっちの町に向かったかがわかれば良いんだけど…もう一度、エアロスの町に戻ってみようか?」
「そうだな…それが……あ……」
「フレイザー、どうかしたの?」
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