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(畜生!
セリナはマリーナに行ったんだな…)
フレイザーは、食堂の片隅で小さな溜息を吐いた。
ラシーナの町に着いてから、いつものようにセリナのことを尋ねまわったが、返って来たのは彼女がここには立ち寄ってはいないという証拠ばかりだった。
「白銀の髪?白髪じゃないのか?」
「そんな髪の色なら、一度見りゃあ忘れることはないだろう。」
「本当にそんな奴がいるのか?」
誰もがそんなことを口にした。
と、いうことは、彼女はラシーナではなくエリオット達が向かったマリーナの町に行ったということ。
彼らはエリオットの魔法で向かったから、自分よりはずっと早くにマリーナに着いている筈…
今頃は、セリナの情報を聞きこんでこちらに向かっている頃だろうとフレイザーは考え、二人が迎えに来るのを待つことにした。
*
(もう陽が暮れかかってるっていうのに、まだなのかよ。
遅いなぁ、全く…)
二人の到着が思ったよりも遅いため、フレイザーは町の入口あたりをうろうろと所在無さ気に歩き回っていた。
「フレイザー!!」
不意に名を呼ばれ、痺れを切らしたフレイザーが空を見上げると、そこにはおんぼろのそりに乗りこんだエリオットとラスターの姿があった。
「遅いじゃないか!待ちくたびれたぜ。」
「ごめん、ごめん。
こっちだとは思ったんだけど、念のためと思って隣町まで行ってたんだ。」
「隣町?」
「最初からこっちに来てりゃあ良かったな。」
「おいおい、何の話だ?
セリナはマリーナの方へ進んでたんだろう?」
「何言ってんだよ。
マリーナでセリナの情報がまったくつかめなかったから、念のため隣町まで足を伸ばしたんだぜ。
それでもやっぱりセリナの情報はまったくなかった。
だから、ラシーナの方へ進んだんだろうと思ってこっちに来たんだ。」
「馬鹿言うなよ。
この町でもセリナらしき者をみかけた者は一人もいなかったぜ!」
「なんだって?!」
不思議な話だが、エアロスの町を出てからのセリナは、そこから続くマリーナでもラシーナでも見掛けた者がいないということになる。
狐につままれたような違和感を感じながら、その晩、三人はラシーナの宿屋で休むことにした。
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