「本当に間違いないんだな?」

「あぁ、あんな変わった髪の色は見たことがないからな。
間違いようがないぜ!」



エアロスの町に着くまでに、三人は街道沿いのいくつかの町に立ち寄った。
そして、そのすべての町で、三人はセリナらしき少女の目撃談を耳にした。



「セリナって子は本当に変わってるんだな。
二年経ってもこんなに覚えてる人がいるくらい目立つ髪色をしてるっていうのに、それを隠そうともせず、しかも、こんなわかりやすいルートを進んでるなんてな。」

「ねぇ、もしかしたら、セリナはもう悪い奴に捕まってるんじゃない?
こんな逃げ方してたら、すぐに見つかって捕まりそうだよ。」

「それが…セリナは、意外とすばしっこい上にカンが良いっていうか、運が良いっていうか…
なんか、そういう所があるんだよな。
だからこそ、今までも逃げ延びてたんじゃないかと思うんだけど…」

「でも、それからもう二年経ってるんだろ?」

「それはそうなんだけど…」

ラスターの顔に暗い影が差した。



「とにかく、この分だとセリナがエアロスの町に行ったのはまず間違いない。
ここは地道に町を訪ね歩くより、馬車で一気にエアロスの町まで行った方が良いんじゃないか?
少しでも早くセリナに追いつきたいからな。」

「そうだな。
その方が良さそうだ!」

二人のその会話を聞きながら、エリオットがくすくすと笑う。



「なんだよ、エリオット。
何か、俺達おかしなこと言ったか?」

「……君達、忘れたの?
馬車なんかよりずっと早くて、しかもタダの乗り物があるってこと!」

ラスターとフレイザーは顔を見合わせ、そして同時に頷いた。







「じゃあ、行くよ!
しっかり掴まっててね!」

町の者から譲ってもらった小型のそりに三人が乗りこむと、エリオットは呪文を唱え始めた。
呪文とともに、そりのまわりに空気がざわめき、ゆっくりと浮かび上がる…



「よ〜し!出発!」

いつものエリオットとは別人のように元気な声があがり、そりはものすごい勢いで空を突っ切って飛び出した。


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