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「じゃあ、俺達はこのあたりで帰るが気を付けてな!
また、いつでも遊びに来てくれよ!
あ、また寂しい獣人をみつけたらすぐにここに連れて来てくれ!」
「アルディさん、冗談はやめて下さいよ。」
「いや、冗談じゃないぞ!
本気も本気だ!」
アルディの言葉に、皆が笑った。
着いた次の日には獣人の村を発つつもりが皆に引きとめられ、三人は、結局、三日程滞在してしまった。
帰りは山の反対側のロンダリンの町を目指すのだが、フレイザーには道がよくわからないということで、アルディとカインは三人を町の近くまで送り届けた。
「アルディ、世話になったな。」
「アルディさん、カインさんのことをよろしく頼みましたぞ。
カインさん、あの森のことはわしが生きてる限り、守っていきますからな。」
「アルディさん、カインさん、本当に楽しかったわ。
ありがとう。」
三人は、口々に言葉をのべ、二人の獣人と握手を交わす。
「こちらこそ、本当にありがとう…
あんた方には何と言ったら良いのかわからないほど、世話になったな。
ダルシャ達にもよろしく伝えてくれ。」
「あぁ、必ず伝えるよ。
カイン、良い嫁さんみつけろよ!」
「それはもう良いって…!
あ、そうだ。
そんなことよりフレイザー、これを受け取ってくれ。」
照れたカインが差し出したものは、黄色の双子石だった。
「これは……
先祖から受け継がれて来た大切なもんだろ?
それに、これを渡すとすれば、俺よりもダグラスさんじゃないのか!?」
「それはそうなんだが…」
そう言いながら、カインはダグラスの方に視線を移した。
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