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リカールを呼ぶ声援の渦の中、リュックがステージに進み出た。



「リカールの人気は噂以上にすごいもんだな!
待ち遠しいのはわかるけど、その前にちょっとだけ俺の話を聞いてくれよな!」

リュックが、リカールの簡単なプロフィールや今までの戦歴について説明する。
観客はそんなことは十分知ってるのだろうが、全勝という件では、会場は大いに沸いた。
さらに、リュックは対戦前の控え室での彼の様子等を語り始めた。
こういうことは始めてだったのか、観客はリュックの話に聞き入り、歓声を上げたり拍手をして喜んでいた。
続いて、ターナーについてのことがごく簡潔に話された。
ほとんどの観客がターナーには関心を持ってないことは端から予想はついていたが、ターナーの話になると罵声やリカールコールが沸き起こったのには少なからず驚いた。
リュックもそんな場の空気を読み、早々にターナーの話は切り上げステージの袖に引っ込んだ。



その後、会場は暗転し、同時に照らされた右と左の通路から、リカールとターナーがゆったりとした歩みでステージへと進み出た…
観客の視線も歓声も、そのほとんどはリカールへ注がれている。
そのことが、カンに触ったのか、ターナーは剣を高く掲げ言葉にならない声をあげていた。
身体つきや顔つきも、まるで野獣のような男だ。
身長はリカールとほぼ変わらないが、体重は倍近くあるのではないかと思われた。
革の鎧のような分厚い筋肉で全身を覆われた獣のような男だ。
普通なら、その姿を見ただけで怖気ついてしまいそうな相手だが、当のリカールにはまったく動揺している様子は見えない。
あえてその感情を抑えこんでいるのか、それともそれだけ自信があるということなのか、私にはまだわからなかった。



二人が、会場の中央に着く。
ターナーは、全身から湯気が立ち上っているようにも見える。
吊りあがった小さな目は、刺すような鋭い視線でリカールを睨み付けている。

レフェリーが二人に注意事項を伝え、ついに対戦は始まった。


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