060 : 手繰りよせたなら17






「リュックとサイモンさん、一体何を話してるのかしら?」

「そうですね。私達にも聞かれたくない話とは、珍しいですよね。」



リュックがサイモンを連れて席を離れ、もうずいぶんと時間が過ぎた。
エヴァは疲れたと言って早々と部屋に引っ込み、残された私達はエヴァやリュックたちのことを気にしながら、落ち付かない気分で飲んでいた。



「マルタンさん、私もそろそろ休みます。
エヴァのことでは本当にお世話になりました。
また、ぜひ村に遊びに来て下さいね。」




リータも部屋に戻ってしまい、私はクロワやクロードと一緒に、他愛ない話をしながら、リュック達が戻って来るのを待っていたが、そのうちにクロワ達も部屋に戻り、私もそろそろ休もうかと考えた時になってようやくリュックが部屋に戻って来た。



「あれっ?みんなは?」

「もう部屋に戻ったよ。
それにしてもずいぶん長い話だったんだな。
何を話してたんだ?」

「……あんたにだけは話しておこう。
他のみんなにはしばらく黙っててくれよ。実はな……」



打ち明けられたリュックの話に私は驚いて、ただ、溜め息を吐くことしか出来なかった。







「まぁ、静かで良い所ね…!」

クロワは、村の風景に気持ち良さそうに目を細めた。



次の朝、リュックは突然、村に立ち寄ることを宣言した。
驚く皆の前で、昨夜、サイモンと話しあって、エヴァ達のための家を用意することになったと言ったのだ。
リータもエヴァも、当然、リータの家で暮らすものと考えていたようだが、村には空き家がいくつもあるのだから、そのうちの一つをエヴァの家にするため、その修繕を手伝いにしばらく村に滞在すると言い出した。
昨夜、リュックから聞いた話はほんの少し違ったものだったが、これは公の理由なのだろう。

私達の旅は急ぐものではない。
だから、しばらく寄り道をした所でなんということはない。
エヴァやリータはそんなことは必要ないと言ったが、それをサイモンとリュックがなだめ、ようやく二人もサイモン達の説得に折れた。


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