060 : 手繰りよせたなら7






「ま、まぁ、サイモン…どうしたの!?」

「サイモン…?
あんた、あのサイモンなのかい?」

「あぁ…そうだ。
エヴァ…ずいぶん変わったなぁ……」

「どういうことだよ!
年取ったって言いたいのかい?」

「そ、そうじゃないよ……」



私達は三人でエヴァの家に向かった。
サイモンは、久し振りのエヴァとの再会で内心は胸を躍らせていたことと思うが、会う早々強気なエヴァの洗礼を受け、たじろぐ様子に私はまた込み上げる笑いを堪えた。




「それにしても驚いたわ。
サイモン、どうしてここに?」

「え…そ、それはおばさんのことが心配だったし……」

「そうじゃないだろ、サイモン。
エヴァ…サイモンはあんたになにか言いたいことがあるようだぜ。」

「言いたい事……?
何なんだよ、何か文句でもあるってのかい?」

「そ、そうじゃなくて……」

サイモンは、エヴァの顔もまともには見られず、俯き加減に小さな声で答える。
村で会った時の彼とは、まるで別人のようだ。



「あんたは昔からそうだ。
はっきりしない所は少しも変わってないね!」

「エヴァ…あなたがそんな風にがみがみ言うから、サイモンは答えられなくなるのよ。
私のことを心配して、こんな遠くまで来てくれたっていうのに……」

リータの言葉に、エヴァは小さく舌打ちをして、サイモンから視線をはずした。



「……サイモン、エヴァに言いたいことって何なの?」

「あ…そ、それは……その……」

「早く言いなよ。
こっちもみんなに話したいことがあるんだ!」

「話したいこと……?
エヴァ…俺の話は後で言いから、先にそっちを話してくれよ。」

その言葉に、エヴァは疎ましげにサイモンをみつめた。



「実は……」

そう言って、エヴァはわざとらしい咳払いをした。
彼女には珍しく、酷く緊張しているように見える。



「あの……だから、その……昨夜、母さんと一晩中話し合ったんだけど……」

それはいつものエヴァとは違い、とても歯切れの悪い話し方だった。



「あのね、エヴァとディヴィッドが村に戻ることになったの。」

「えっ!!」

エヴァの話し方にじれったさを感じたのか、横から口を挟んだリータの思いがけない内容に、私達は同じように驚き目を見開いた。


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