049 : 後朝10
*
「う、うぅん……ん……?」
尿意を催し、目を覚ましたリュックは瞼をこすりながら、ゆっくりとベッドから起き上がる。
ほんの少し歩を進めた時、ぼんやりとしながらもリュックは自分の身の異変に気付いた。
「……え………え!!」
リュックは、自分が何も身につけていないことに気付き、さらに、振り向いたベッドの中に、自分と同じように何も着ていないエヴァの背中をみつけて、素っ頓狂な声を上げた。
「……なに……?
どうかしたの?」
「ど、どうって……わーーーーっ!」
リュックの方を向いたエヴァから焦って視線をはずし、そこらに散らばっていた服を掴むと、リュックはその場から逃げ出した。
「リュック!!」
エヴァの声に振り向くこともせず、ュックは扉をばたんと閉め、台所の片隅に隠れるようにしてあわてて服を身に着けた。
(ど、どういうことなんだ!?
昨夜、一体、何が……)
リュックの心臓は今にも飛び出さんばかりに、いつもよりずっと早く鼓動を刻み、その全身からは滝のような汗が噴き出していた。
「……リュックさん…どうかしたの?」
「わっ!!……デ、ディヴィッドか。
な、なんでもないんだ。
それより、おまえ、なんだってこんな早くに……」
「リュック…!
どうしたんだよ。」
リュックがディヴィッドに話しかけてる時、扉の開く音とエヴァの大きな声が響いた。
「ま…まずい!」
「あ、待って!
良い所があるんだ!着いて来て!」
ディヴィッドはそう言って逃げ出そうとするリュックの服をつかみ、先に立って、家の外に飛び出した。
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