048 : 数珠つなぎ14
*
「お帰り。
……それにしてもすごい荷物だな。」
「俺もこんなにあるとは思ってなかったよ。
でも、考えてみりゃ、当然だ。
町を離れた者もそれなりにいるが、それでもまだここには大勢の人間が住んでるんだからな。
皆も忙しいし、買い物に行けない者も多いんだから。」
「確かにその通りだが……
大変だっただろう?」
「あぁ、買い出しなんてたいしたことないと思ってたが、片付けと変わらないくらいきついぜ。
あ、そんなことはともかく、ガラスは頼んで来た。
早速、向かってくれるそうだ。」
「そうか…それは良かった。」
リンゼイの屋敷のガラスの問題はこれで解決した。
まさかこんなことになっているとは考えていないだろうから、ガラスが遅いことを不審がっているかもしれないが、あと数日の辛抱だ。
「先生達もきっとここに来てくれるよな?」
「あぁ、ビルさんが事情を話してくれるだろうし、そうすれば私達がここにいることに気付いてくれるだろう。
もうじき着くんじゃないか?」
「……かもしれないな。
ところで、俺、しばらくは買い出しの方を手伝うことにしたからな。
今日はディヴィッドさんと一緒に行って来たんだが、あの人、ここ数日の買い出しで腰を痛めてるのに、我慢してるんだ。
だから、ジャックにでも代わってもらうように話すつもりだ。
やっぱりこういうことは、実際にやってみないとわからないんだな。
俺もそうだが、やってみないと本当のきつさがわからない。
だから、ちょっと年配の人達にやらせてたんだな。」
そう言うと、リュックは疲れを振り払うかのようにゆっくりと肩を回す。
「そうか、君も無理しないようにな。
片付けが終わったら、今度は店を建てる作業が待ってる。
そうなればまた頑張らなきゃいけないんだから……
君のことだ。
もちろん、そういうこともやるつもりなんだろう?」
「……まぁな。」
彼の屈託のない笑顔に、私は思わず苦笑した。
聞くまでもないことだ。
彼がそんな仕事をほっぽり出したまま、先に進むはずがない。
こんなことをしていたら、旅が終わるのに何年かかるかわからない。
そもそも、どこでこの旅を「終わり」とするのかもわからないのだが……
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