048 : 数珠つなぎ10


「そして……クロワさん達がリンゼイさんに指輪を届けて下さって……
リンゼイさんがお母さんの真意を勘違いしたことから、ここに戻って来られて、長年のわだかまりが解消して……
あぁ…本当に縁というものはすごく不思議なものですね。」

「……そうね。
あなたも私達のことを疑わなかったら、今、ここに来てないわけだし……」

「クロワさん!疑ってるわけじゃないって言ったでしょう!?」

クロワはアンディの真剣な表情に、くすりと笑う。



「わかってるわよ。
あなた、おかしな所で真面目なんだから。」

「酷いなぁ…クロワさんは……」

アンディはクロワの言葉が冗談だったとわかり、決まりの悪い顔で呟いた。



「でも、本当に良かったわ。
今ももしリュックさん達がリンゼイの代わりに行ってくれてなかったら……
アンディとリンゼイは出会うことがなかったかもしれないわよね。」

「えっ!?」
「えっ!?」

同じタイミングで、同じように驚いたような顔をするアンディとリンゼイに、クロワやリンゼイの母親はくすくすと笑った。



「な、なんだよ、クロワさん!」

「だって、あなたとリンゼイさん、同じような顔で驚くんですもの。」

「お、驚く時の顔なんてみんな同じようなもんだろ!」

「アンディ、どうかしたのか?
妙に顔が赤いようだが……」

「そ、そんなこと、ありませんよ!」

クロードにそう言われ、アンディの顔はさらに赤みを増した。
リンゼイは何も言わず、ただ深く俯くだけだった。



「そうそう、私、明日、鍵と蝶番を買いに行って来ますね。
そしたら、アンディ…後の事はお願いね。
マルタンさん達をあまりお待たせするわけにもいかないから……」

「そんなもの、わざわざ買いに行かなくても俺が作れますよ。」

「でも、作るとなったら道具や材料が必要だし…家に戻らないといけないでしょう?
あなた、足がまだ……」

「俺なら……」
「そうだわ……リンゼイ。
あなた、アンディさんに付き添って彼のお宅までお送りしなさい。」

何事かを話しかけたアンディの言葉は、リンゼイの母親の声にかき消された。



「えっ!?」
「えっ!?」

「まぁ……」



またも同じタイミングで同じように声を上げたリンゼイとアンディの様子に、三人の大きな笑い声が響いた。


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