048 : 数珠つなぎ3
*
「こりゃあ大変なことになってるな。」
思った通り、リュックはトーマス夫妻の息子、ミックの様子を見に行こうと言い出し、私達は慌しく食事をかきこんで、隣町に向かった。
町に近付くに連れ、黒く立ち昇る煙が見え、焦げ臭いにおいが鼻をつき、大きな火事であることは予想出来ていたが、現場は私の想像を遥かに超える有り様だった。
町の中心部に向かうに連れ、焦げ臭いにおいは強くなり、焼け落ちた家屋も多くなっている。
「おい、今日の火事はどこから出火したんだ?」
「どこかはよくわからないが、商店街のあたりから出たって話だぜ。
燃え広がるのがとにかく早くってな。
ついさっき、ようやく消えたんだが……こんなに燃えちまったんじゃ、この町ももうおしまいだな……」
通りすがりの男は、そう言うと、すすで汚れた顔に苦笑いを浮かべ去って行った。
「マルタン、確かトーマスの妹夫婦は商店街の近くに住んでるって言ってたな?」
「あぁ……無事だと良いが……」
火元とされる商店街は、なにもかもが焼け落ち、所々で燃え残る赤い火が、薄暗くなり始めた夕暮れの中、妙に美しく見えた。
おそらくここで商いをしていたと思われる者達でごった返す中、私達はトーマスの妹・ナンシーの情報を求めて歩き回った。
「ナンシーの家なら、商店街を抜けて三軒目の家だ。」
ようやく得た情報を元に、私達はその家に急いだ。
「マルタン!」
あたりの状況からおおよその予想はついていたが、やはりその家も片側が壁が酷く燃えていた。
「ナンシーさん、いるかい!」
リュックが声をかけながら扉を叩いたが、中に人の気配はなかった。
「リュック、ここにはいないようだ。
多分、どこかに非難してるんじゃないか?」
「そうみたいだな…あ…!」
リュックは、ちょうどそこへ通りがかった男の元へ走り寄る。
私もすぐに彼の後を追い、男から、今、町の者達は広場に集まっていることを聞き込んだ。
- 288 -
しおりを挟む
コメントする(0)
[*前] | [次#]
お題小説トップ 章トップ