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「皆さんのおかげで私は救われました。
本当にどうもありがとうございます。」

テリー兄弟の母親、カトリーヌは震える声でそう話した。



診療所を見舞う度に、彼女の様子が少しずつ回復しているのが感じられた。
最近では、廊下を歩けるまでに回復したという。
それは彼女だけではなかった。
いつの間にかカールの血色も良くなり、頬のあたりも子供らしくふっくらとして来た。



「明日は庭に出てみるつもりなんです。」

カールは、母親の傍らで嬉しそうにそう言った。



「良かったなぁ…
母ちゃんがこんなに元気になったのも、おまえが一生懸命看病したからだな。」

「いえ…ここに入院させてもらったおかげです。
ここで、お薬をいただいて、ちゃんと手当てをしてもらえたから……」

「おまえって奴はもうっ!」



真面目な顔で話すカールに、リュックは思わず苦笑する。



「母さん、家の方もずいぶん変わったんだぜ。
昨日は家の表に花壇を作ったんだ。
母さんが帰って来る頃にはきっと綺麗な花が……」

「おい、テリー……それは母ちゃんには内緒にしとくんじゃなかったのか?」

「あ……」



リュックの指摘に、テリーは頬を赤く染め、その場は和やかな笑い声に包まれた。



あとしばらくもすれば、テリー一家には、毎日のようにこんな風に笑える日々がやって来るだろう。
カトリーヌがまた働けるようになれば、彼らの生活もまた少しずつ上向きになるはずだ。
テリーだって、あと数年もすれば今よりももっと稼げるようになるだろうし、その頃には、カールもちょっとした仕事が出来るようになっているだろう。
今を乗り越えさえすれば、彼らの未来はきっと明るいものになる。



「と、とにかく、母さん…楽しみにしてておくれよ。」

「ええ、今からとても楽しみだわ。
どんな花が咲くのかしら?」

カトリーヌはそう言いながら、テリーを優しい眼差しでみつめた。


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