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「リュック、腹はすいてないか?」

「え…?そういえば、今日はバタバタしてて夕食は食べてなかったな。
爺さん達はあれからなにか食べたかなぁ…」

自分のことよりもいつも他人のことを先に考えるリュックに、私は失笑した。



「きっと神父様が気を利かせて、スープかミルクでも飲ませてくれてるさ。
それより、君はどうなんだ?」

「俺はもう良いよ…今日はいろいろありすぎたせいか、食べることはすっかり忘れてた。
あんたはどうなんだ?
確か、缶詰や乾パンならあったはずだが…」

バッグの中を探ろうとしたリュックに私は答えた。



「いや、けっこうだ。私も何も食べたくない。
疲れてるのに眠くもないんだ。
リュック…少し酒でも飲まないか?」

「そうだな、少しもらおうか…」

眠くなかったのはリュックも同じだったらしく、彼は私の提案に素直に賛成した。



「あぁ〜…今夜の酒はいつもよりよく効くな…」

グラスの酒を一気に飲み干し、リュックは眉間に皺を寄せた。



「いやな酒じゃないんだから良いじゃないか。
よく効いてもらった方がよく眠れる。
……明日もきっとまた忙しいぞ。」

「そうだな…やることがいっぱいあるよな。
荷車はここの爺さんに頼めばすぐに調達出来るな。
あんたがあの人を曳いていってくれるか?
それとも、爺さんをおぶってくれるか?」

「私はどちらでも構わないよ。」

「クロワさんにも着いて来てもらおう…
となると、先生も来るよな。
ま、いろいろと人手はいるだろうからちょうど良いか。
葬儀はもうする必要はないよな?」

「埋葬する時に、一応、隣町の神父に来て祈りを捧げてもらおう。」

「それで、親戚とか連絡する人はどうなんだ?」

「こっちへ来る道すがらタバサさんに聞いたんだが、タバサさんはエリックさんの姪にあたる人らしく、タバサさんの両親はもうすでに亡くなっているらしい。
ソフィーさんの家族は、彼女が亡くなってしばらくしてから引っ越したらしくてな…
ご両親はもう生きてらっしゃる筈もないが、確かソフィーさんには弟さんがいたらしい。
連絡先を知ってるかどうかは、タバサさんに聞いてみないとわからない。」

「そうか…弟っていってももう相当高齢だろうな。
みつかれば良いがな…」

私とリュックは酒を酌み交わしながら、明日からの様々な雑用について話し合い、そしていつの間にか眠りに就いていた。


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