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「俺は、興味本意にそんなことを言ってるわけじゃない!
助けてやりたいんだ!
なんとかしてあの人を…」

「ば、馬鹿な…!
あんたに何が出来るって言うんじゃ。
そんなことに関わってはいかん!」

おそらく、老人は本心からリュックのことを心配してるのだろうと思えた。
リュックも老人のそんな気持ちがわからないはずはない。



「そうだな…俺に何が出来るかはわからない。
役に立てることなんてないかもしれない。
それでも、やっぱり俺はなんとかしてやりたいんだ。
だって、あの人は俺に救いを求めて来たんだから…
……すまないな、爺さん。」

そう言い残し、リュックは粉雪の木の傍へ歩き始めた。
私もその後に続く…老人は、しばらくその場に立っていたが、やがて、ゆっくりと私達の後に着いて来た。



「リュック…なにを探せば良い?」

「さぁ…俺にもわからない。
だけど…きっと、このあたりで何かあったんだと思うんだ。」

「……いいや、このあたりには何もありゃあせん。
台風の時も、このあたりの木は一本も倒れんかった。
街の方の木の中には倒れたものもあったのじゃが、やはりここのものは古いだけに根もしっかりしとるのじゃろう。」

いつの間にか私達の傍に来ていた老人が口を挟んだ。



「だろうな…こんな大きな木じゃしっかり根を張らなきゃ育たないよな。」

私達は、注意深く粉雪の木の一本一本を見て回った。
だが、どの木にも傷付けられた様子さえなく、とても順調に成育しているように見えた。
老人も何も言わず、私達と同じように木の様子を確かめる。
結局、ずべての木を見て周ったが、私達は特にこれといって不審なものは何もみつけることが出来なかった。



「……どうじゃ?納得したかね?
何もなかろう?」

「……そうだな。」

リュックもそのことを素直に認め、軽く頷いた。


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