「おい、マルタン。
ぼーっとしてないで、先生に何か言ってやってくれよ!」

「えっ!?……私もリュックと組むのは別にいやじゃないが…」

「ほら、マルタンさんもこうおっしゃってる。
……なんなら、今からあの分かれ道まで戻りましょうか?」

クロードは、私の言葉を受け、おどけて得意げな表情を浮かべた。



「やなこった!
あ〜あ、つまんねぇこと言わなきゃ良かった。
さっさと行こうぜ!
………あれ?」

歩き始めたリュックが不意に足を停め、道の前方をみつめる。



「リュック、どうかしたのか?」

前方には特に変わったものはない。
リュックの戸惑いの意味がわからず、私は彼にその意味を尋ねた。



「今、そこに女の人がいなかったか?」

「女?さぁ…私は見なかったが…どんな女だ?」

「いや、一瞬だったから、若い女としか…錯覚かな?…昨夜はあんまり眠れなかったからな。
そういえば、なんだか急に眠くなって来た。」

「町に着いたら、夕食まで宿で少し眠ったらどう?」

「そうするかな…」



町まではそう遠くはなかったが、着いたのは陽が暮れ始めた頃だったため、今からではさほど眠れる時間もないと、リュックは仮眠を諦めた。
噂通りのこれといって特徴のない小さな町で、私達は町に入ってすぐに目についた宿屋へ向かった。



「眠気は大丈夫なのか、リュック?」

「あぁ、我慢してるうちになんとなく眠気もどこかに吹っ飛んだみたいだ。
今は、それよりも食い気だな。」

「そうだと思ったわ。
じゃあ、早速、食堂へ行きましょう!」

私達はそこでありきたりな食事を済ませ、その後、軽く飲んだ後、ようやくベッドに横になった。
やはり前夜の睡眠不足がこたえていたのか、私は横になった途端に深い眠りにおちていた。


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