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それからの数日間、イングリットは日課となっていた庭造りにも取りかからず、じっと家の中に潜んでいた。
誰にも会わず、家の中に閉じこもっていると、つい考え事をしてしまう。
そのうちにイングリットの頭の中では妄想にも似たものが大きく膨らみ続けていた。



(もしも、あの事件がビルの仕業だとしたら…
それは私のせいなの?
私が、彼に優しくしたから?
……いいえ、私は優しくなんかしていない。
ただ、彼を当たり前の人間として扱っただけ…でも……
もしかしたらそれが悪かったの?
彼に変な期待を持たせてしまったの??)



イングリットは心の重さに耐えかねて、マーチンに会いに行こうかと考えたが、彼は今仕事で忙しいことは言われなくてもわかっていた。
それに、彼はビルのことを信じている。
ビルのことを悪く言えば、マーチンに嫌われてしまうかもしれない…そう思うと、イングリットには踏ん切りが着かなかった。







そんな頃、さらに恐ろしい事件が起きた。
イングリットは激しく扉を叩く音で目を覚ます。
ふと時計を見ると、イングリットがいつも起きる時刻よりまだ少し早かった。

こんな早朝に何事かと、ガウンを羽織ったイングリットが出て行くと、そこには見知らぬ男性が二人立っていた。



「そ…そんな馬鹿な……
まさか、ビルが……!!」



イングリットは軽い眩暈を感じ、よろめいた所を男性に支えられた。
男達の話はそれほど衝撃的なものだった。

「ビルが、義父を殺害し、逃走している。」

若い方の男が興奮したようにそう語ったのだ。
男達は町の自警団の者達で、ビルがイングリットと仲良くしてることを知って、ここへ逃げこんだのではないかと考えて訪ねて来たのだと言う。
しかし、イングリットの態度を見て、ここへは来ていないというイングリットの言葉を信じ、自警団の男達は早々に去って行った。



(ビルが…バーグマンさんを……)

男達が去った後、イングリットはへなへなとその場に座り込んだ。


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