「先生!クロード先生はいらっしゃいますか!?」

昼食を終え、食堂でのんびりと話をしている時、シスターキャロルが血相を変えて飛び込んで来た。



「シスターキャロル、どうなさったんです?
まさか、ピーターの身に何か?」

クロードは立ちあがり、キャロルに問いかけた。
キャロルは、息苦しかったのか、黙って何度も頷く。



「せ…先生!とにかく早く!!」

クロードは、診察カバンを取りに部屋に戻り、私とリュックがシスターキャロルについて行った。







ピーターの部屋に入ると、意外なことに、彼はベッドの上に上体を起こして座っていた。
私はまた墓場の時のように暴れているのか、もしくは体調に異変があったのかと考えていただけに、気の抜けた思いだった。



「シスターキャロル…一体どうしたんだ?
ピーターは特に具合が悪そうには見えないが…」

リュックも私と同じことを感じていたらしい。
シスターキャロルに、その疑問を投げかけた時、私達はやっとピーターの異変を理解した。



「あんた達、誰なんだ?
あんた達も俺のことを知ってるのか?」

「えっ!?」

ピーターが喋ったのだ。
ごく普通の少年のような言葉を使って…
私とリュックは、目を丸くしてピーターの顔をみつめた。



「ピ…ピーター、おまえ、言葉が喋れるのか!?」

ピーターは怪訝な顔をして、リュックを見つめ返した。



「おかしなことを言う奴だなぁ…
俺が赤ん坊にでも見えるのか?
俺は十八だ。
言葉が話せるのは当たり前だろう!?
だいたい、ここはどこなんだ?
なんで、俺はこんな所にいるんだ?」

私達がまだ目の前の現実に戸惑っている時、診察カバンを持ったクロードがクロワを連れて部屋に走りこんで来た。



「……ピーターは大丈夫なんですか?」

ベッドにいるピーターを見て、クロードもおそらく私達と同じことを考えたのだろう。



「先生…ピーターが…」

「なんだ、なんだ?
今度は医者のお出ましか?
まさか、俺のことを診に来たんじゃないだろうな?」

私が説明をする前にピーターが口を開き、クロードは、シスターキャロルの先程の慌て様の意味を瞬時に理解したようだった。


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