次の日、シスター・キャロルはいつもと同じようにピーターの部屋を訪れ、彼に朝食を与えた。
彼女が一体何をするつもりなのだろうと見ていると、彼女は、ピーターに向かって厳しい声で言い放った。



「ピーター、今日からあなたには働いてもらいます。」

トーマス老人は、目を丸くしてシスター・キャロルの顔をみつめた。
ピーターはぼんやりとした表情で身動き一つしなかった。



「さぁ、お立ちなさい!」

ピーターの腕を掴んだシスター・キャロルに、トーマスがあわててそれを制した。



「シスター・キャロル、何をなさるおつもりですか。
この子は心を病んでおる。
そんな子を働かせるなんて…」

シスター・キャロルはトーマスを一瞥しただけで、両手で彼の身体を支え無理やりにその場に立たせた。



「ピーター、あなたは罪人なのでしょう?
罪人が、牢にいるだけで罪を償えると思うのですか!
あなたには、働く義務があります。
少しでも罪を償うために、あなたは働かねばならないのです!」

いつもとは違うシスター・キャロルのきつい口調に、ピーターの表情がどこか変わった。
そしてその唇が「つぐない」という動きを取るのを私は認めた。
心配げな表情を浮かべるトーマスの前で、ピーターが夢に浮かされたようにその言葉を紡ぎながら、自らの足で檻の方へ歩き始めたのだ。



「ピーター…」

「さぁ、行きましょう!」

シスター・キャロルは、ピーターの手を引きゆっくりと歩いて行く。
久しぶりに見る眩しい太陽に俯きながら…しかし、ピーターは少しも抵抗することなく歩いて行き、私達はその様子を見守りながら、彼らの後を少し離れて着いて行った。



(驚いたな、ピーターが自分からあの部屋を出るなんて…)

(シスター・キャロルもうまいこと考えたもんだ。
彼の妄想を逆に利用したわけだな。)



やがて、シスター・キャロルはピーターを畑に連れだし、そこでの草むしりを指示した。

「シスター・キャロル、ちょっと来て下さい!」

明らかに憤慨した様子のトーマスが、シスター・キャロルを畑の隅に呼びつけた。


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