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「な、なんだって!あいつが!?」
リュックは驚きの声をあげると、今度は苛々とした様子で悪態を吐き始めた。
「しばらくおとなしくしてると思ったら、そんなことをしやがるとは…
あのくず野郎め!」
「私も悪かったんだ。
つい、あいつを怒らせるようなことを言ってしまったからな…」
「馬鹿野郎!
あんたが何を言ったか知らないが、じいさんが丹精こめて作った花壇を踏み散らかすなんて…最低だ!」
リュックの怒りはおさまらない。
夜が更け、皆が各自の部屋に戻ってから、私はリュックの部屋を訪ね、先日の出来事を話して聞かせた。
こんなことが話せるのは彼だけしかいない。
「リュック、聞いてくれ。
あいつは言ったんだ。
多分、ピーターのことだと思うんだが、そんな昔のことなど忘れてしまえば良い…とか、なんとか…」
「昔って…奴の過去に何かあったって言うのか?」
「そうだ。
だが、過去とは言っても生まれる前のことだ。」
「生まれる前…?
生まれ変わりとかなんとかいうあれか?」
私は黙って頷いた。
「俺にはそこらへんのことはよくわからないが…
そういや、あいつは前からおかしなことをよく言ってたな。
クロワさんのことはずっと昔から知ってるようだったし、クロワさんを何度も殺したとも言ってたな。
それも、その過去の話なのか?」
「おそらくそうだな。
私も以前はそんなものがあるとは思っていなかった。
魂は受胎した時に宿るものだと信じていた。
そう教え込まれていたからな。
だが、最近ではその考えが揺らいでいる。
あいつの言うように、過去生というものがあるような気がしているんだ。」
リュックにそう話しながら、私は自分の言葉の中に小さな疑問を感じていた。
なぜそんな風に思うようになったのか?
いつ頃からそんなことを考えるようになったのか……?
「それで、ピーターの過去になにがあったんだ?」
リュックの質問で私は物思いをかき消された。
「あ、あぁ、それは教えてはくれなかった。
だが、何かの偶然でその記憶が吹き出し、そのせいであんな状態になっているのだと…そのようなことを言っていた。」
「畜生!
もっと詳しいことがわかれば、解決法もわかったかもしれないのに…」
「すまない。私がもっとうまく聞き出すべきだった。
感情的になったのがまずかったな。」
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