029 : 昔からある場所1
***
「呪われた戦場っていうのは、ここか…
…だが、おかしいな。何もないぞ。」
ピーターは、あたりを見渡しながら少し落胆気味にそう呟いた。
彼が訪れたのは、隣町からはずいぶん離れた場所だった。
これといって目的のない旅を続けていた彼は、隣町でこの場所のことを小耳に挟み、なにか面白いものがあるのではないかと出向いてきたのだが、わざわざ長い道程を歩いて来たにも関わらず、その場に広がるのは何もない荒野。
遠くに小屋のようなものが一軒見えるのみのその光景に、ピーターはがっくりと肩を落とした。
「呪いだなんだのっていうから幽霊屋敷でもあるのかと思ったら、石碑一つないじゃないか…
来るんじゃなかったぜ。」
ピーターはその場に座りこみ、酒の瓶をあおった。
こんな場所にわざわざ行こうと思い立ったのも、彼が酔っ払っていたからかもしれない。
ピーターは悪態を吐きながらそのままぐびぐびと酒をあおる。
しばらくして、ピーターは空になった瓶をそこらに放り投げると、暗くなった道を小屋を目指して千鳥足で歩き出した。
調子っぱずれの歌を口ずさみながら、ピーターは小屋の明かりを頼りにふらふらと歩いていた。
「あ…っっ!」
地面から顔を出した小さな岩の塊にピーターは足を取られ転倒した。
「うっ!」
転んだ拍子に、ピーターは固い地面で頭を強打し、
低いうめき声を最後に、ピーターはそのまま意識を失った…
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